私たちライフオーガナイザー(思考の整理からはじめるコンサルティング型の片づけ支援サービスのプロ)がこの夏注目しているドラマが月曜夜10時の『魔法のリノベ』。
なぜライフオーガナイザー界隈が盛り上がっているのかというと、第1話の放送開始すぐに主役の真行寺小梅ちゃん演じる波瑠ちゃんから「ライフオーガナイズ」と言うセリフがでてきたから。
該当の話が発売された当時の星崎先生(原作者)のツイートがこちら。
いやいや、まさかドラマに「ライフオーガナイズ」というセリフが登場するとは!
しかもですね、単にモノを片付けることではなく、自分と向き合って暮らし全体を見直す片付けを表現するのに「ライフオーガナイズ」を使っていただけたのがうれしい。
魔法のリノベは住宅リノベーションのお話なので片付けとは違いますが、そこに住む人が主役で、住んでる人を置いてけぼりにしないスタンスはライフオーガナイザーの行う片付けにも共通するものがあります。
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と、前置きが長くなりましたが。
片付けのプロ目線でドラマの感想をUPしたいと思います。
第1話『1 凸凹バディが誕生!築60年の家をリノベしたい夫婦の本音』のあらすじ↓
福山玄之介(間宮祥太朗)は、バツ2で7歳の息子・進之介(岩川晴)を育てるシングルファザー。脱サラして家業の『まるふく工務店』で営業職として働くも、人の良さからくる押しの弱さでいまだ成約ゼロ。父で社長の蔵之介(遠藤憲一)や、福山家の三男で設計士の弟・竜之介(吉野北人)から、営業マンとしての将来を不安視されている。
そんなある日、蔵之介が趣味の山登りで知り合い、意気投合したという真行寺小梅(波瑠)が、助っ人として『まるふく工務店』に転職してくる。小梅は、経験に基づいた豊富な知識と優れた観察眼を武器に、大手リフォーム会社の営業エースとして活躍。玄之介も、その手腕にかつて苦い思いをした一人だった。
ストーリー|魔法のリノベ | 関西テレビ放送 カンテレ より引用
家には魔物が住んでいる
ドラマ『魔法のリノベ』では、その家が抱えている課題を『魔物』と表現しています。
で、その魔物をやっつけるためにすることがリノベーション。
だからか、途中ちょいちょいドラクエ風?な演出が入ってきます笑
昔、『妖怪ウォッチ』ってアニメあったじゃないですか。あの歌で「ようかいのせいなのね~そうなのね」って歌詞があるんですけど、個人的には魔法のリノベで言う魔物は妖怪ウォッチの妖怪にちょっと近いような感覚です。
実際問題、家のことって悪者探しや犯人探しになっちゃうと良い結末にはあんまりならないんですよ。「そっちが悪い」「いや悪いのはそっちだ」とか、本来魔物に向かうべきベクトルが相手に向く状態ですね。こうなるともう誰もハッピーじゃない。
でも。
魔物が悪さをしているせいなら誰も傷つかない。魔物をやっつけたらみんながハッピーなんですよ。
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私、子供によく言うことがあるんです。
「共通の敵(=部活のライバル校とか)がいるとチームがまとまるよ」って。
人がまとまるのって、何もない平穏なときじゃなくってピンチのときだったりしませんか?
家の課題も一緒で、向かうべき共通の課題がはっきり決まると、ぐんと家族がまとまります。「共通の」というところがミソで、ここをクリアにしていく過程に注目しています!
本心を引き出すプランニング
1話のメインエピソードは築何十年も経った古い家のリフォーム。
そのメインエピソードの前に、主人公の小梅の有能さを伝えるエピソードとして流れたのが片付けられない主婦の話。「ライフオーガナイズ」のセリフが登場する回です。原作と違ってドラマではまだ小梅がまるふく工務店に入る前の設定です。
▶原作は1巻にcase4『片付かないキッチン』として収録されてます。
ここで小梅は、夫の意向を反映したプランを持ってきた同僚に対し、妻の本心を引き出すリノベーションプランを提案。
客先で同じ会社同士で争ってどーするよ!って感じですが(笑)。ま、そのあたりはおいといて。
妻は、本当は夫婦そろってキッチンに立つのが理想の暮らしだった。
でも、片付けが苦手な自分を「ダメ主婦」と思いこんでいる。今のアイランドキッチンを選んだのも自分だし、うまく使いこなせないのも自分。リノベーションの話が出てきたのも半ば自分のせいだと思っている。だから本心を言い出せない。
そこで小梅は、お客様が言い出しにくいことを代弁し、妻は本心を打ち明けはじめる……
小梅の営業マンとしての能力の高さが伺えます。
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第1話のメインエピソードでも、なかなか本心を言い出せない妻が登場します。
中山美穂さん演じる妻は時代の流行りなど関係なく、古き良きものに価値を置くタイプ。いっぽう、寺脇康文さん演じる夫は家のリフォームにノリノリ。
リビングやキッチンをガラッと新しくリフォームしたい夫に対して本心を言えない妻。なぜなら妻はバリバリのキャリアウーマンで、料理などは夫に任せているから。
本心を夫に打ち明けることなくリフォームの話は進んでいく。いつまでも古い物事に固執しないで変わることも大事だと、自分に言い聞かせるように全面リフォームを決意する……
そこで小梅&玄之介のまるふく工務店コンビが妻の気持ちを汲み取るプランを提案するわけです。「残すべき価値のあるものは残す」というプランは、まさにリノベの王道でしたね!
五感を研ぎ澄ました観察力
その、お客様の本心を引き出すために必要なのが、お客様自身やお宅をよく観察する力。
ところが玄之介は観察どころか地雷踏みまくり。小梅に怒られていましたね。
名刺の件や「料理=女がするもの」といった営業マンの思い込みはもうあるあるですね。私も家を建ててるのでわかります……。
あと、盛り上げるための演出だと思いますけど、家の古さをネタにしてご主人と一緒になってノリノリで笑い飛ばしたりとか。もし自分が片付け現場に連れて行った研修生があんなことしたら、あとでダメ出しの嵐ですよ!
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第1話で小梅は、奥様がキャリアウーマンであることをご自宅に伺ってすぐの段階で見抜いていました。
小梅役の波瑠ちゃんが玄関に入ったときに足元(=靴)や奥(=カバン)に視線を動かしていましたね。今回は古い家が舞台だったので、ブランド物のバッグや靴がなおさら目立ったのでしょう。
私はライフオーガナイザーを育成する立場でもありますが、講座では「五感を研ぎ澄ませて」と伝えてます。視覚だけでなく聴覚や触覚などなど。得られる情報はたくさんあるんですよ。
片付けのプロ目線で放送見直しましたけど、よく見るとダイニングでの打ち合わせのときにキッチン側に座っていたのは寺脇さんだったりとか(キッチンに一番近い席にキッチンに立つ人(=料理をつくる人)が座ることが一般的には多い)。
あと、リビングに飾られている写真立てには古い写真が飾られていました。おそらく中山美穂さん演じる妻の子供の頃の写真でしょうね。
細かいところまで考えて作ってるな~と思いました。
そうそう、小梅に怒られまくっていた玄之介も、古いものを悪く行っていたときに奥様がさみしそうな表情をしていたのは見逃してませんでしたね!
みんな大好きビフォーアフター
住宅ものといえば楽しみなのが間取り。リノベーションがテーマのドラマですから、ビフォーアフターもこのドラマの見どころです。
原作の星崎先生によると、魔法のリノベはドラマ化希望のリクエストが多い作品だそう。でも、実際問題ビフォーアフターの再現は、予算や諸々を考えるとドラマ化は難しいのではないか?と思っていたとのこと。
▶▶▶参考)魔法のリノベ公式サイト
その難しいビフォーアフターですが、ミニチュアが効果的に使われています。
昔、建築模型を作る仕事をしていた身としてはたまりません!
老眼が進んでもう細かい仕事は無理だけど、模型作りは楽しかったなぁ。納期さえなければ笑
第1話のアフターも公式さんがツイートしてくれてます。
個人的には縁側にあこがれがあるので、縁側は残したかったな~。
放送ではアフターのシーンはエンディングにさらっと流れる程度ですが、リノベーションという魔法で家族が楽しくすごしている様子が垣間見れます。
リノベはあくまでも家族が心地よく過ごすための手段なので、本編で時間を取って解説するよりいいかもしれませんね。
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第1話のメインエピソード『思い出の宿る場所』は、現在星崎先生のnoteで一部読むことができますよ~。
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ドラマの内容とは関係ないですけど、玄之介役の間宮くん最近ドラマ出ずっぱりですよね。この間まで特服着たヤンキー高校生だったのに今回はバツ2のサラリーマン役。振り幅がすごい!
そのビジュアルからぶっ飛んだ役柄も多いですけど、個人的にはハケン占い師アタルのときのヘタレ社員役とか好きでしたねぇ。あとはボス恋の中沢パイセン。あれは切なかった……。
今回の玄之介は若干ヘタレ系に近いのかな?楽しみです。